インディー(65)

「ほんなら、オレもちょっとヤバイってこと?」

「きぃ、つけといてください。グアッハッハ!」


「その笑いが出るっちゅうことは、回復は早そうやな!ヤベが働けるようになったら、オレはすぐにヤクザ管理下のバイトなんて足洗うからな!」


「わかってます。スンマセン!」


「ヒロトはもう見舞いに来た?」

「イヤ、まだッス!」


「あいつ、どん臭いから、道に迷とるんやろ。すぐ電話しとくわ」


「ありがとうございます」


取り敢えず、組長の怒りは、おさまっているらしいこと、ユキも無事らしいことを知って、ヤベの声から、悲愴感は消えかかっていた。


あぁ、体の芯から疲れた一日。

歳の功ってやつでヤクザとの付き合い方は、ある程度、心得てはいるが、それでも、初対面の組に単身赴き、身内がしでかした粗相の後始末をすると言うのは、疲れるものである。


府議会議員へのインタビューも何もかも、吹き飛んでしまった。


ナオミにも、ヒロトにも、今回の件は伏せて置かなければならなかった。

取り敢えず、ナオミには、ヤボ用ができたので、編集作業の続きは、一月以上先伸ばしになる旨をメールし、詫びておくことにした。


(つづく)




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